どうも、マセリョウジです。
話題の映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を観ました。
映画館ではなくAmazonのレンタルで観ました。レンタル代は500円です。
結論から言うと500円の元は十分取れる内容でした。これが大変面白かったので感想を書きます。
なぜ君は総理大臣になれないのか とは
一人の政治家を17年追い続けたドキュメンタリー
この映画は、実在の現職国会議員(2021年現在)の小川淳也議員を2003年32歳から2020年49歳までの17年(!)追いかけたドキュメンタリーです。
監督は大島渚監督の息子さんである大島新監督です。
追いかけたと言っても365日張り付いて生活から全て追いかけると言った大家族モノみたいな感じではなく、ポイントポイントで密着するというものです。リアリティショー的なものを期待していると肩透かしを食らうかもです。
それでも、17年というのは大きく、家族を巻き込み安定した官僚の仕事を捨て選挙に飛び込んだ生き生きとした32歳の若者が、少し疲れた政治家の顔つきになっていく変化はよくわかります。
この映画が制作された経緯
そもそもは単発の密着だったそうですが、大島監督が小川議員のあまりにも真面目で実直な性格に触れ、「この人は政治家に向いていないのではないか」と思ったことがきっかけで作品にするあてもなく興味本位で追いかけて行ったのがきっかけです。政治家に向いていない人が自分の理想を実現するため政治家として悩み苦しみながら活動する様子を捉えたいと思ったのですね。
上映館数も7館から80館へ
当初7館のみの上映でしたが1ヶ月で1万人動員し、上映館数は80館以上へと広がった話題作です。僕もそれを知って、予告編を観て「ぜひ観たい」と思いました。
あらすじ
日本を良くしたいとの思いで小川淳也が官僚の職を捨て32歳で家族の反対を押し切って民主党から初出馬、紆余曲折あってなんとか比例で当選を果たす。
選挙区のライバルは地元のマスコミのオーナー一族で2021年現在デジタル担当大臣の平井卓也議員でこの強大な相手を倒して選挙区当選をしないと比例当選では議会での発言力が増えない。
そして民主党の政権交代で風が吹き悲願の選挙区当選、しかし安倍政権になり野党の集合離散のゴタゴタに巻き込まれる。
この間、実直で生真面目な小川は支持者を増やし続けるが、その実直さゆえに政治家として党内での出世すらままならず、自身の理想を実現するところから遠ざかっていくことに苦悩する。
ラストに17年前の自分が課した十字架を告白する。
感想
正直な感想は、次の通りです。
・選挙ってめっちゃ大変
・娘さんたちがすすんで協力してすごい
選挙ってめっちゃ大変
選挙は支持者、後援会など大勢の人がそれぞれの思惑を持ちながら候補者を御輿に掲げて国政に送ろうとしています。
これが、ほんとに大変そうで、電話かけまくったり、雨の日も街頭に立ち演説したり選挙事務所でもたくさんのボランティアの人が動員されていました。
みんながガーっと入り込んでいるので小川議員の挨拶では感極まって涙を流す支持者もいます。
そして一番大変だと思うのは、家族を巻き込むことです。自分の両親、妻、娘まで、自分の夢のために家族総動員で選挙運動をしなければなりません。
親も妻も娘も有権者に電話をかけまくるし、街頭にも立つ。家族を巻き込んでの選挙戦は「自分だったらとても無理。ていうか家族の理解を得られない」と思いました。
神奈川から駆けつけた友人の苦悩や苦労を代弁するような熱い応援演説で家族が涙を流すシーンは僕ももらい泣きしました。
これだけの人々のエネルギーや思いを背負って当選しているのだから、議席を守るために長いものに巻かれたくなる気持ちはわかりますが、議員さんたちにはもう人々の少し血と汗のこもった思いに見合った成果を出してほしいと感じました。
娘さんたちがすすんで手伝ってすごい
小川議員の娘さんたちは冒頭出てくる時は6歳くらいの子供で選挙の時は寂しくて泣いているのですが。次に登場するときには20歳前後になっていて選挙活動に積極的に協力しています。
電話かけから、のぼりを背負って自転車で街宣。チラシを「娘です!よろしくお願いします!」と言って配る。
普通いやですよね。特に年頃の娘なら。思春期もあったりするだろうし。
ところが、娘さんたちは選挙を手伝うことに抵抗はないのかと問われ、
「抵抗する理由がない」
すごいですよね。
僕も幼い娘が二人いますがどうやったらこう育つのでしょう。特に政治家だと忙しくて東京と地元を行き来したり、普通の家庭とは全く違うでしょうに。それだけでこの人は実直に生きてその姿を娘に見せてきたんだなあと感じます。
もちろん、父親が政治家が故に、嫌なこともあったでしょうがそれを乗り越えてのことだとは思います。
余談ですが、父親の選挙運動をガチで手伝った経験は、就活でのアピールにはすごくなりそうだなと思いました。サークルをまとめましたレベルとはモノが違うし、そんな経験している大学生、ほぼいないだろうと思います。
まとめ
選挙運動の大変さを見るだけでも十分見応えがありますが、この映画のキモは小川議員に対して監督が「この人は政治家に向いてないんじゃないか」と思ったことをご両親も思っている、しかし政治家という道を選んで「日本のために」と必死で頑張っている姿。これを観て日本人がどう思うかを問うているのでしょう。
一人の政治家を17年間追うなんて唯一無二のドキュメンタリーでしょう。
観る価値は十分あります。特にラストで語った若い頃の自分が課した十字架の告白には「えっ」と思います。小川議員自体は現役の議員なので(2021年現在)、ドキュメンタリーのその後の様子もリアルタイムで確認できますね。
いくつか観る方法はありますがAmazonのアカウントがある方はAmazonレンタルが一番観やすいと思います。